目次
1 ワイン好きへのプレゼントは何が良いのか
ワインが好きな方へのプレゼント、どんなワインが良いのか悩んだことはありませんか？相手がワインが好きであればあるほどこだわりも深く細かいため、自分が選んだワインが相手の好きなワインとは限らない可能性も多々あります。そのため、ワイン愛好家にプレゼントするワインを選ぶことはなかなかに難しいことと言えます（もちろん、ロマネ・コンティをもらえばどんなワイン好きも間違いなく喜ぶでしょうけども！）。
ソムリエナイフなどのワインオープナーも一つあれば事足りるものですし、ワインを飲む方なら当然持っているものでしょうから、あまり良い選択とは言えません。
では何をあげたら喜んでもらえるのか？ズバリ、リーデルのワイングラスを強くおすすめいたします！
このメーカーのワイングラスは、世界的ワインの権威であるロバート・パーカーをして「機能的にも享楽目的にもともに最高のグラスはRiedelのものだ。これらのグラスが上質なワインに及ぼす影響は奥深い。私はこの違いが何であるかを十分に強調することはできない。※」とまでいわしめています。
※原文： “The finest glasses for both technical and hedonistic purposes are those made by Riedel. The effect of these glasses on fine wine is profound. I cannot emphasize enough what a difference they make.”
ワイン好きの方になら絶対に喜ばれるプレゼントとなるリーデルのワイングラス、世界中のワイン愛好家をとりこにする、その魅力をご紹介します。
2 リーデルの歴史
リーデルの魅力を知っていただくために、少し歴史をひもといてみましょう。
リーデル社のガラス製造の歴史は、ボヘミア地方北部（現在のチェコ共和国）の森の中に最初のガラス工房が建てられた250年前に端を発します。工房を建てたのはリーデル家3代目のヨハン・レオポルドです。
その後、リーデル社は繁栄を遂げて二度の世界大戦を迎えますが、1945年、チェコスロヴァキア新政府からリーデル社を国営とする命令書とともに全財産を没収されてしまいます。8代続いて200年の間に築き上げた実績が、一夜にして崩壊の憂き目に遭ってしまったのです。
しかし9代目のクラウス・リーデルが、リーデル家再興の祖としてワイングラス界に革命を起こします。クラウスは、あのスワロフスキー家の援助を受けて新しい会社を興しました。その背景には、クラウスの曽祖父であるヨーゼフがスワロフスキーにガラス工芸技術を教えた縁がありました。
クラウスはブルゴーニュのワイナリーと協力し、ワインの良さが最も引き出せる形を研究することになりました。そして生み出されたのが、1958年に発表されたブルゴーニュ・グラン・クリュです。しかし、このグラスをボルドーのワイナリーに送ったクラウスに思わぬ返答が返ってきます。それは「このグラスは良くできているが、ボルドーの良さを引き出しきれてはいない」というものでした。
この時クラウスは「ワインの品種によって最適なグラスの形状は異なるのではないか」と気付きます。そこでグラスの形状が中に注いだワインに与える影響を研究した結果、当時ワイン用として使われているグラスのほとんどが小さすぎてワインを正当に評価できていなことにも気付いたのです。
こうしてクラウスは、1961年発行のカタログで「ワイン独自の持ち味を高めるためのグラス作り」という自らの理念を初めて打ち出しました。機能性よりも見た目の美しさを重視したグラスが主流だった当時、リーデル社の理念は他社のそれとは大きく一線を画するものでした。そして1973年に発表されたソムリエシリーズはワイン界に新風を巻き起こし、世界中で数々の賞を受賞しました。
ワイングラスに革命を起こすきっかけとなり、現在のリーデルのワイングラスの原点となったソムリエ ブルゴーニュ・グラン・クリュは、その造形の美しさから「美しき怪物」の二つ名を与えられ、ニューヨーク近代美術館（MoMA）にも永久展示されています。
ソムリエ ブルゴーニュ・グラン・クリュ
10代目のゲオルグ・リーデルは、クラウスの理念をさらに発展させます。ブドウ品種別のグラスを発表したほか、リーデルのグラスを手頃な価格で世界中のワイン愛好家に提供できるよう、機械生産のヴィノム・シリーズを世に送り出しました。
その後、ゲオルグと11代目のマキシミリアンはステムのないデザインのリーデル“O”シリーズをはじめ新しいデザインや斬新な技術を投入し、リーデル社の発展に今も尽力し続けて今日に至ります。
（リーデルのより詳しい歴史については公式サイトの「リーデルの歴史」をご覧ください）
3 リーデルのグラスの秘密
3.1 ワインの個性を引き出せるグラス
リーデルのグラスの良さの一つに、ワインの香り、味わい、バランス、そして後味といったワインの個性を引き出せるというところがあります。
一体、他のメーカーのグラスと何が違うのでしょうか？その秘密は「ワークショップ」と呼ばれる開発工程にあります。
新しいデザインを開発する際に、たくさんのデザインの中からリーデルが勝手に「これはカベルネに最適！」と決めているわけではありません。対象となるワインの生産者と協力してワークショップを開催し、いろいろなデザインのグラスで彼らが納得するまでテイスティングを重ねます。そしてそのワインのことを一番良く分かっている生産者が「このグラス形状が自分のところの個性を一番引き出せる」と判断して、どのグラスにするのか決定するのです。
3.2 なぜグラスの形がワインの味わいに影響するのか
ワインの種類によって異なるデザインにするというけれど、なぜ形状がワインの味わいに影響するのでしょうか？
リーデル社が監修している本「プロ直伝！家飲みワイン おいしさの新法則」にはこうあります。
ワインの味わいの印象を左右するのは、実は舌上でのワインの流れ方です。特に大切なポイントは、最初に舌のどの部分でワインを感じるか。さらには、その後、ワインがどのように流れていくか、という点です。
この舌上での流れ方は、ワイングラスのすぼまり方（横から見た時のラウンド具合）や口径（飲み口の広さ）、つまりグラスの形状によって変わってくるのです。
こちらの本には、どのワインにはどの形状のグラスがマッチするのかはもちろんのこと、それぞれのワインに合った料理のレシピ、さらには正しいワイングラスの洗い方や拭き方も掲載されていますので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
3.3 素材へのこだわり
リーデルは長らく、鉛クリスタルと呼ばれるその名の通り、鉛の入ったクリスタルを使ってきました。クリスタルではないガラスは一般的にソーダガラスと呼ばれる種類のガラスですが、クリスタルの透明感や輝きはソーダガラスの比ではありません。また鉛クリスタルは表面には小さな凸凹があって、そこにワインが絡みつくことでより複雑で豊かな香りが生まれます。さらには乾杯をした時の音も格段に美しいのです。もちろん、鉛が溶け出して健康に悪影響を及ぼすということはありません。
近年は鉛に代わる素材を使ったクリスタルを開発し、その良さを失うことなく鉛の使用を中止することに成功しているため、現在販売されているリーデルのグラスには鉛は使用されていません。
4 リーデルのブランドライン
リーデルには、実に160種類以上のグラスがあります。また、グレードやデザインによって3つのライン、16のシリーズに分かれています。
Exclusive（最高級ライン）
リーデルの最高級シリーズ。オーストリアの職人が、熟練の技で一つ一つ手吹きで創り上げます。特別なワインを開ける時に、また大切な方へのプレゼントとして最適です。
ソムリエ ブラック・タイ／リーデル・スーパーレジェーロ／ソムリエ／ブラック シリーズ レッド／ファット・ア・マーノ
Moderate（スタンダードライン）
ワイン本来の香りと味わいを楽しむグラスとして最も普及しているシリーズです。
世界最高峰の技術をもつドイツにて機械製造されています。
ヴィティス／グレープ@リーデル／リーデル・ヴェリタス／ヴィノム・エクストララージ／ヴィノム／エクストリーム
Competitive（カジュアルライン）
ワインを毎日カジュアルに楽しみたい方に最適です。
ドイツにて機械製造されています。
ワイン／オバチュア／リーデル・オー／H2O／スワル
5 プレゼントにおすすめのグラス
上記のように、160種類以上もあるグラスの中からプレゼントに最適なものを選ぶのはなかなかに至難の技です。相手の好きなワイン銘柄が分かっていればそれに合ったものを選ぶのがベストですが、それが分からない場合はどれを選ぶのが良いのか。
リーデル青山本店で相談してきましたので、予算別にご紹介します。
・予算5,000円
＜リーデル・オー＞オー・フォー・ユー
（税込定価3,780円）
カジュアルラインのリーデル・オーシリーズで、ステム（グラスの下の方の棒）がない丸っこいタンブラーのような形状のグラスです。専用の箱はかわいらしい蝶ネクタイとリボンのデザイン、さらに上ぶたの部分に“FOR YOU”というメッセージも入っていてプレゼントにぴったりです。
軽めの赤ワインからさっぱりめの白ワインまで、幅広いワインにマッチします。
・予算10,000円
＜グレープ＠リーデル＞カベルネ／メルロ
（税込定価5,400円×2）
スタンダードラインのグレープ＠リーデルシリーズは、優しい曲線で描かれたボウルがステムによって下に引っ張られ、底部がV字に凹んでいるのが特徴です。ボウルの底からすっと伸びたステムはボウルと一体化しているため、ワインの鮮やかな色が光に反射して、一般的なワイングラスとは違った特別な印象をもたらします。底の部分がV字になっていて、ワインを注いだ時に美しさが際立つデザインです。
こちらのカベルネ／メルロはその名の通り、カベルネソーヴィニヨンやメルローなどの重厚な赤ワインとマッチします。
・予算20,000円
＜ファット・ア・マーノ＞リースリング／ジンファンデル
（税込定価10,800円×2）
「ファット・ア・マーノ」はイタリア語で「手作り」を意味しています。最高級ラインに並べられるこのシリーズは、ステムに色彩豊かなヴェネチアンガラスの技法を用いて作られていて、置くだけで食卓が華やかになるグラスです。赤や黄色などカラフルな選択肢の中から、好みの色を選んでください。
リースリング／ジンファンデルは軽めの赤からさっぱりめの白まで幅広いワインにマッチするため、「ニュートラルなグラス」として世界的なワインコンテストやソムリエコンクールでも採用されています。
・予算30,000円以上
＜ソムリエ ブラック・タイ＞HAKU ブルゴーニュ・グラン・クリュ
（税込定価32,400円）
最高級ラインのソムリエ ブラック・タイはステムが黒く、ワインを注いだ時にステムまでワインに染まったような一体感のある美しさに定評があります。さらに2. リーデルの歴史にも登場したリーデルのワイングラスの全ての始まりと言えるソムリエシリーズ ブルゴーニュ・グラン・クリュと同じボウルデザインは、眺めるだけでもうっとりするような美しさです。無論、手吹きガラスならではの繊細な口当たりも味わえる、最高のワイングラスの一つと言って間違い無いでしょう。
HAKUは台座部分に金沢で金箔加工を施した和モダンなデザインで、日本土産として海外でも人気を博しています。
酸味が強く、渋みは中程度、複雑な香りの赤ワインに最適です。
以上、相手がどんなタイプのワインが好きか分からない場合のグラスのご紹介でしたが、好きなタイプのワインが分かっていれば、それにマッチしたグラスを選ぶに越したことはありません。上手くリサーチに成功すれば、より喜ばれるプレゼントになるでしょう。
また、プレゼントだけでなく、ご自宅用にも特別な日の乾杯のために1セット買ってみてはいかがでしょうか。とっておきのワインやシャンパンがさらに特別なものになること請け合いです。
6 リーデルのグラスのお手入れ方法
プレゼントの本筋とは離れてしまうのですが、リーデルのグラスをプレゼントするに当たっては「リーデルのグラスのお手入れ方法」もぜひ一緒にお伝えいただきたいところです。
というのは、リーデルのグラスはとても薄く、またステム（柄のところ）も細いため、誤った洗い方をしてしまうとグラスが割れたりステムがぽっきり折れたりしてしまうという悲しい事故も起こりうるからです。それではもらった方も気まずい思いをしたり、怖くて使えなかったりしてしまい本末転倒です。
とはいえそんなに難しいものではありませんので、下記リンク先のお手入れ方法をさらっと読んで、あるいはプリントアウトして渡したりしてお伝えください。
リーデル公式のお手入れ方法
How to care -リーデルのグラスを末長くご愛用いただくために-
ワイングラスのお手入れ方法（洗い方、拭き方、磨き方） – RIEDEL（リーデル）
ワイングラスの名門ブランド、RIEDEL（リーデル）がおすすめするワイングラスのお手入れ方法（洗い方、拭き方、磨き方）をご紹介します。
また、リーデルの11代目マキシミリアン本人によるグラスの拭き方がYotubeに上がっています。英語での解説になっていますが、拭き方のイメージはこちらの方がつかみやすいと思います。
Tips for Cleaning Wine Stemware By Maximilian Riedel
もう一つ、解説動画をご紹介しておきます。こちらの動画はリーデル公式ではありませんが、日本語での解説ですので分かりやすく、言っていることも上の動画とほぼ同じですのでお好きな方をご覧ください。
・プレゼントにクロスも一緒に贈ることも検討を
プレゼントする相手によっては、クロスも一緒にプレゼントすると良いかもしれません。プレゼント用にはリーデルのクロスまたは東レのクロスが、サイズが大きく毛羽立ちも少ないためおすすめです。実際、解説動画の一つ目ではリーデルのクロスを、二つ目では東レのクロスを使っています。
マイクロファイバークリスタルクロス（リーデル）
税込価格1,620円
「ここまでしないといけないなら、あげるのちょっとめんどくさいな」って思いました？でも、リーデルのグラスにはそれだけの価値が間違いなくあります。せっかくのプレゼントです。もう一手間かけることで、より大切に使ってもらいましょう。
プレゼントした時も、そして相手がワインを飲む時も、相手の方に心の底から喜んでもらえますように！